投資信託の3つのメリット

更新: 2022/05/08 21:41

「iDeco」(個人型確定拠出年金)、「NISA」(少額投資非課税制度)、「つみたてNISA」といった制度が拡充されています。
いずれも投資運用を促すための制度ですが、主に想定しているのは投資信託ではないかと思います。
そうでなくても、金融機関からのDMなどでも投資信託を勧誘されることが多々あります。

今回は、投資信託に詳しくない方向けに、売り手側がなかなか教えてくれない「投資信託の勘所」について解説します。

最大のメリットは「少額でできる分散投資」

投資信託とは、簡単に言うと「たくさんの人から少額ずつ預かったお金をまとめて運用」する仕組みです。
この仕組みのおかげで、例えば一万円といった少額であっても、数百・数千銘柄の株式に分散投資したのとほぼ同じ結果を得ることができます。

一般に投資信託は「少額からできる分散投資」「安全・公正な資産管理」「プロによる運用」の三つがメリットだとされています。
逆に最大のデメリットは「手数料が掛かること」です。

この中で最大のメリットは「少額からできる分散投資」でしょう。
個別の株式で運用する場合、数銘柄から十数銘柄程度に分散投資して運用したいところですが、そのためには数百万円程度の資金が必要になります。
しかも、こうした少数の銘柄でバランス良く分散投資することはプロでも簡単ではありません。

そのため、一般の人が効率良く分散投資の成果を手にするには、投資信託を利用することが現実的です。
ただ「買っていい投資信託」は本当に少ないものだということは知っておく必要があります。

第二のメリット「安全・公正な資産管理」も軽視することはできません。
投資信託は、証券会社・銀行など、投資信託の「販売会社」が顧客から預かったお金を「受託銀行」と呼ばれる信託銀行で、個別に保管・管理して、「運用会社」「受託銀行」「運用指図」を行います。
こうした仕組みがあるために、もし販売会社や運用会社が倒産した場合でも、投資信託の資産は「受託銀行」によって、安全に管理されるようになっています。

取引金融機関が破綻した場合の「資産保全」という意味では、預金保険で「1人、1行、1,000万円」までしか保護されない銀行預金よりも、投資信託の方が安全だと考えることもできます。
やはり、「資産の保管・管理がどうなっているのか」ということは、世間によくある投資話の真贋を判断するに当たっても重要なポイントです。

アイドルへの投資、ワインファンド、海老などの養殖への投資、海外不動産への投資など、どのような法的立場にある「誰が」お金を預かって管理しているのかが怪しいものも少なくありません。
今後、活発に登場するであろう「クラウドファンディング」でも、資産の保管と管理がどうなっているかは重要なポイントです。
この辺りの確認が甘いと、預かった資金を経営に流用するといった不祥事が起きる温床になります。

第3のメリット「プロが運用する」という点については「期待しない方がいい」と考えましょう。
投資信託の利益は「市場平均のリターン」+「運用の巧拙のリターン」の合計です。

例えば、「日本の株式に投資する投資信託」というくくりの中で比べるなら、「市場平均のリターン」は皆共通、「運用の巧拙のリターン」は事前に評価する方法がありません。
今年の経済予測が毎年公表され、それがどの程度当たるのかを考えればわかると思いますが、プロといえども未来を見通すことはできません。
投資の世界では、プロが素人よりも儲けているというわけではないのです。

投資信託の選択には、運用会社や運用を担当するファンドマネージャーよりも、個々の投資信託商品の「手数料の差」が重要です。

投資信託の手数料には、投資家が購入時に一時的に支払う「販売手数料」と、資産の運用・管理の対価として毎年支払う「運用管理手数料(信託報酬)」の2種類があります。

まず、販売手数料ですが、一般的には購入額の2〜3%ですが、これは1,000万円の投資額に対して20万〜30万円に相当します。
「ノーロード」という手数料のかからない投資信託もあるので、この手数料は無料のものがあるということを覚えておきましょう。
どうしてもこの投資信託が欲しいという場合でも、金融機関によって販売手数料が違う場合があるので、購入する金融機関の選択も重要です。

そして、運用管理手数料(信託報酬)は一見目立ちにくいが、長期的には影響が大きくなります。
例えば、運用管理手数料が年率1%の投資信託と0.5%の投資信託では、20年間投資すると、単純計算でも運用資産額の10%もの差が生じますし、実際には複利の効果でもっと大きな差になる可能性もあります。

投資信託で投資家の得る金額は、さきほどの「市場平均のリターン」+「運用の巧拙のリターン」の合計から「手数料」を差し引いた金額ですから、手数料は少ない方が受け取れるリターンは大きくなります。

「日本の株式に投資する投資信託」で比べるなら「市場平均のリターン」は皆共通で、「運用の巧拙のリターン」は事前に評価する方法がなく、「手数料」には確実な差があるので、同じカテゴリーで手数料が高い投資信託を選ぶ合理的な理由はありません。

株式にそうしする投資信託を例にすると、手数料がより高い投資信託は手数料が安い投資信託に比べて「株価が上がった時には儲けが小さく、株価が下がった時には損が大きい」から、市況の良し悪しに関係なく「手数料」が安い投資信託の方が得なのです。

より良いファンドを選ぶ方法はない

市場平均を上回る運用成果を目指す投資信託は「アクティブファンド」と呼ばれます。
市場の平均的なパフォーマンスを目指す「インデックスファンド」のような無難な運用成績を目指すのではなく、平均以上に儲かるように感じられますが、運用管理手数料はかなり高い場合がほとんどです。

高い手数料を取って積極的に投資するのだから、平均以上に儲かるように思われますが、これまでの例では、アクティブファンドの平均的な運用成績は、インデックスファンドに負けるケースがほとんどでした。
また、今までの運用成績で選んだとしても、「これから先」つまり未来の運用成績がいいアクティブファンドを「事前に見分ける」ことはできません

投資家が自らの判断でアクティブファンドを気に入って投資することは悪いことではありませんが、アクティブファンドに投資することに経済的合理性はないということになります。

また、分配金の取り扱いにも注意が必要です。
運用がプラスの利回りなら毎月の分配は年1回の分配よりも税金面で損になりますし、毎月分配型の投資信託は手数料が高すぎることが非常に多いです。
特に、60歳まで使うことができない「iDeco」などでは、再投資して複利効果を狙うので、分配金よりも投資効果の方が重要です。

投資信託を選ぶなら、

  • 販売手数料が安い(できれば無料)
  • 運用管理手数料が安い
  • 今後値上がりする(わかれば苦労しない)
  • 選択肢の多い金融機関で購入する

のが合理的だといえるでしょう。

いずれにせよ、投資信託を購入するなら、投資信託について学ぶ必要があり、さらに投資そのものについても学ぶ必要があります。
個人的には、両方学ぶよりも、投資についてしっかり学ぶ方が近道だと考えています。

そして、何より重要なのは、選択肢の多い金融機関を選ぶことだと思います。

限られた選択肢の中では、より良い選択などできるはずもありませんからね。

「初心者向けの商品がある」「初心者にはバランスファンドが向いている」とか「高齢者には、分配金が大きな商品が向いており、“自分年金”を作るといい」といったセールストークは全て誤りで、投資家のタイプやニーズに応じて適した商品があるというのは、金融商品の売り手側が流しているフィクションです。

投資の基本は、「なるべく安全に、なるべくたくさんお金を増やすこと」以外にあり得ません。
「最も効率のいい組み合わせ」に投資すれば良いというのが結論です。