カードローンは本当に使いやすいのか?

更新: 2022/03/31 10:17

銀行カードローンは、消費者が無担保で使い道を限定せずに借りられる融資です。

24時間、ネットでも申し込める利便性や総量規制の対象外になることから、消費者金融の規制後に利用が急増しました。
日銀が異次元緩和を始めた2013年度以降、毎年約10%のペースで伸ばしており、銀行の事業の中でも急成長しています。

しかし、結論から言うと、公的な貸付制度を優先するほうが有利です。

融資残高は2017年3月末時点で約5兆6千億円と5年で約7割増えたといわれています。
しかし、自己破産の申し立てが増えるなど、利用者の返済能力を超えた貸し付けが広がっているとの批判もあります。

2017年現在、日本全体でみれば、雇用は好調だし、個人預金もこの10年間で100兆円も増えています。
お金に困って消費者ローンに頼る人は減少していてもおかしくないはずなのですが、カードローンが伸び続ける背景には何があるのでしょうか。

サラ金業者から銀行カードローンに主役変更?

2000年代初頭、ダンサーやチワワを使ったキャッチーなCMや、街頭でのティッシュ配布などを武器に、貸金業者の消費者ローン残高は12兆円まで積み上がっていました。
それが今は4.2兆円と、約3分の1に縮小しています。

激減の背景には、2006年に貸金業法が大幅に厳格化されたことと、払い過ぎた利息の「過払い金返還請求」の急増がありました

しかし、壊滅状態の貸金業者に代わって、低金利下での成長分野に飛びついた銀行が勢力を伸ばしてきました。
貸出しを行うには貸金業者よりも銀行の方が、低利の預金で資金を調達できるうえ、貸出金利も安く設定できること、銀行口座の情報を握っているのでお金の出入りが把握しやすいことなど有利な点が多いのです。
そして、借りる側にとっても、銀行からの借入れなら抵抗が少ないこと、ネット上でいろいろな業者の貸出条件を比較できるようになったため、銀行の低金利が目に留まりやすくなったことなどからカードローンは利用しやすいでしょう。

2006年の貸金業法改正で、貸金業者は個人の年収の3分の1までしか貸せないと定められたが、銀行は適用外になっており、規制上は銀行の消費者ローン貸出額は制限を受けないことになっています。
そのうえ、年収がゼロの主婦層に対しても銀行なら貸出しができるため、利用するユーザー層が増えたともいえます。

中高齢・中高所得者、破綻"復活"ユーザーもターゲットに?

では、いったいどんな人が銀行の消費者ローンを借りているのか。

顧客属性の内訳を開示している新生銀行のデータによれば、年齢別で一番割合が大きいのは貸金業者と同じく20~30代の若年層で、合わせて5割を占める。
しかし近年伸びているのは、むしろ、中高齢層・中高所得者層になっており、50歳以上の人に対する貸し出しは全体の2割強を占めるに過ぎないが、年率30%のペースで急増しています。
年収でみても、500万円以上の中高所得顧客への貸し出しがやはり年率30%以上増加していいます。

なぜ、銀行では、中高所得層・中高年齢層への貸出が増えているのでしょうか。

考えられる要因の1つは、「医療費」の増加だといわれていますが、もう1つの要因は、過去借り入れがあった人の"復活"を無視することはできません。
借金が返せなくなった人でも、5年経つと記録が抹消され、再び“適格者”になり、過払い金請求の記録については他社と共有されないため、過払い先と無関係の銀行なら、請求した翌日からでも借り入れができるのです。

貸金業法が改正されてから10年が経過して、多重債務者問題を追及する弁護士や、弱者救済を旗印にしたマスメディアが一体となって消費者金融業者を攻撃・排除してきました。

また、全国に展開する過払い金専門の法律・司法書士事務所がテレビCMなどを使って、グレーゾーン金利の返還を呼びかけ、返還を求めていった結果、消費者金融・クレジット業界が返還に応じたのは6兆円にのぼります。
手数料分の20%を法律・司法書士事務所に支払っても5兆円弱の資金が多重債務者の手元に還流しており、この過払い金バブルによって、多重債務者が一時的に救済されました。

当時、過払い金を請求されたのは消費者金融・クレジット業界だったため、年収の3分の1を上限とする総量規制に縛られることなく銀行の貸出しを受けることができます。
多重債務者問題が過剰債務問題に変わり、プレイヤーが貸金業者から銀行に変わっただけで、基本的な構造は何も変わっていないのかも知れません。

銀行のカードローンが使い勝手がいいのは確かなのですが、安易な利用はおすすめできないのも事実です。
 

公的な貸付制度を優先するほうが有利です

安易にカードローンや消費者金融からの借入れに頼ってしまうと、そこから抜け出せなくなり、自転車操業に陥る人が多くいます。
そうならないために、借入れる場合には、公的な貸付制度の利用をまず検討しましょう。

【生活福祉資金貸付制度】
低所得者、高齢者、障害者などに生活支援金や住宅入居費、一時的な生活再建費などの貸付制度で、地域の社会福祉協議会が窓口となっています。
借り入れには原則、連帯保証人を必要としますが、連帯保証人がいなくても利用は可能です。
連帯保証人を立てるなら無利子となり、立てられなかったとしても年1.5%程度となります。

【年金担保貸付制度】
国民年金や厚生年金保険などの年金を担保に借り入れできる制度です。
医療費や生活必需品の購入費用などが必要になった場合に、一定の条件を満たしていれば、10万~200万円の間で、利率2.1%(2017年9月1日現在)で借りることが可能です。

銀行のカードローンなどから借入れ、今はどうにか返済できている現役世代の人たちは、10~20年後に自己破産のリスクがあるかもしれません。

安易な情報に頼らず、しっかりとしたライフプランを持っていきましょう。